【ちゃんぷるー】
沖縄語辞典(国立国語研究所編)には、チャンプルーは「豆腐と野菜などの炒(いた)め物」とある。沖縄大百科事典(沖縄タイムス社)にも、同様なことが書かれ、さらに「豆腐を手で大きくちぎり、表面にこげ色がつくまで炒めてから野菜を入れ、塩で味を整える。使う野菜の名を上につけて『…チャンプルー』と名づける」とある。「ゴーヤーチャンプルー」や「マーミナー(モヤシ)チャンプルー」などはその代表的なもの。
豆腐が入っていないとチャンプルーではない」と主張する「昔かたぎの人」にとって、まず許せないのが「ソーミンチャンプルー」。その根拠として沖縄調理師専門学校学科部長で琉球料理研究家の安次富順子さんは、(1)東恩納寛惇氏の文章に「チャンプルーは『炒腐児』で、中国の総菜料理であった」と出ている。この「腐」は豆腐を指すので、豆腐が入ったものと解釈していい(2)「松山王子尚順遺稿」に「チャンプルーをつくるとき、普通の豆腐を使う代わりに、十分に熟成されたイタミ六十(るくじゅう=六条とも書く。豆腐を薄く切り、塩をつけて炭火であぶったもの)を使うと世界一の珍味といえるものになる」と出ている?などを挙げている。「チャンプルー=豆腐入り」にこだわる理由として安次富さんは「炒めることのできる豆腐は沖縄の島豆腐だけ。豆腐が入らないのにソーミンチャンプルーとするのは、島豆腐の価値まで下げ、沖縄の『炒め文化』まで損なう。豆腐なしでもチャンプルーにすると、野菜炒めもチャンプルーも区別がなくなり、やがてはチャンプルー自体がなくなる恐れもある」と指摘している。
では、豆腐の入らない“ソーミンチャンプルー”」は何といえばいいのか? 「ソーミンタシヤー」と「ソーミンプットゥルー」の二通りがあると言われている。「タシヤー」は「炒める」という意味があり、「炒めご飯」を「タシヤーウブン」とか「タシヤーメー」という。「プットゥルー」には、ほかにサツマイモのでんぷんを水でとき、油で炒めた「ンムクジプットゥルー」があり、そもそもプットゥルーとは「のり状にしたてた料理」のことを指す。これからいくと失敗したソーミンがプットゥルーのような気もする。
【たしやー】
ご飯や素麺、デンプン質のものを炒めるときにタシヤーという。炒めご飯を「タシヤーウブン」とか「タシヤーメー(飯)」、素麺炒めをソーミンタシヤーという。
【んぶしー】
生野菜などの汁気(水気)の比較的多い素材に豆腐、豚肉を加えて味噌味で味付けする煮物のこと。味噌の味が材料のおいしさをよりいっそう引き立てる。シブイ(とうがん)、ナーベーラー(へちま)、パパヤ(青いパパイア)、ゴーヤー(にがうり)などを味噌味で煮込んで作り、主に果菜類を使うので、葉野菜を使うチャンプルーより野菜の量がたくさん食べられる。また、豚肉や豆腐を加えると栄養素のバランスもよくなる。手早くできる炒め物のチャンプルーに比べて、少し時間がかかります。
【いりちー】
「イリチー」とは、だしを用い煮汁を少なくして炒める調理法のこと。おもに「炒め煮」に近い調理方法をこう呼ぶ。んぶしーよりさらに手間がかかる。材料は小さく切り,汁気が飛ぶまで煮含めるように料理し,乾物を使う料理も「イリチー」と呼ぶことが多い。イリチーの材料は、クーブ(昆布)、グイク(越来が名産地のゴボウ)、デークニ(大根)、アーサ(モーアーサ、じゅずも)、せんぎり(干し大根)、ウカラ(おから)、スンシー(メンマ)、パパイヤ、麸などを使う。なかには豚の血の塩漬けを使う「血イリチー」という珍味も。
【んむくじ】
ンム(芋)+クジ(くず粉)、サツマイモの澱粉のこと。代表的な料理にサツマイモとンムクジを練り合わせて、油で揚げたンムクジアンダギーがある。
続く
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